三河島駅近くから荒川警察の方向に向かって伸びる荒川仲通り商店街。 商店街らしく食品店や飲食店が軒を連ねるこの商店街の一角に、ひときわ異色を放つお店があります。それがウェディングドレスショップの「エンジェルキッス」さん。
ただのウェディングドレス屋ではありません。ショーウィンドウに飾られているのは、日本の着物生地をふんだんにあしらった、見たこともない豪華絢爛な和ドレス。残念ながらもう結婚には用はなくなった私ですが、それでも目をひかずにはいられません。
そのエンジェルキッスさんを切り盛りしているのが万年(まんねん)さんご夫妻。約束の朝10時ごろに伺うと、「こんにちはっ」と明るい笑顔で迎えてくれました。
万年さんご夫妻
- お店はいつからされているんですか?
もともとは洋品屋をやっていたんです。父の代からなんでおそらく昭和26-27年ぐらいからだと思います。ウェディングドレスに特化したのは平成10年の4月ですので、いま17年目になります。
- 奥さんがもともと始められたのがきっかけだとか
そうです。洋品店をやってたときに妻が手作りが好きで、子供服を作ったり引き出物を作ったりしていたのですが、その流れでたまたまウェディングの仕事に関わる機会がありました。他のお店のドレスのお手伝いとかをしていたのですが、自分でやりたいと。それで洋品店をやめてウェディングドレス一本でやっていこうか、ということになりました。
- 今はご夫婦で切り盛りされているのですか?
そうです。2人で。縫い子さんとかはいますが。妻が製作は全てやっていまして、私は事務方、という形で動いています。
お店外観
- この和ドレス一点製作するのにどれくらいの時間がかかるんでしょう?
1着にフルタイムでかかれば大体3週間ぐらいです。2週間後にウェディングだと言われて、最短で10日間ぐらいでオーダーメードを作ったこともありますよ。その時は1週間で型紙を起こして、残りの1週間は毎日来店していただいて、作業やっては確認して、、、を繰り返して完成させました。
通常は大体3-4ヶ月前にお決めいただけるとこちらも助かります。そこから3-4回の手直しと確認を経てオーダーメードは完成させていきます。外注は一切やってなくて全て中で作成しているので、全ての過程を確認していただくことができます。
アトリエで奥様が制作
- ドレスにはデザインパターンのようなものはあるのですか?
やっている中でできてきています。レンタルもやっているのですが、そこにお出ししているものがサンプルということになりますね。和ドレスについてはみなさんお母様やおばあちゃんの着物をお持ちになるので、その持ってきた着物の量に応じてどうするかを決めていきます。一番簡単なものは帯が3本分あればできますよ。
- なるほど、お母さんやおばあちゃんの着物がベースになってるんですね。
そうなんです。ですのでそういう思いもこもっていて、当日までお母さんやおばあちゃんには秘密にされていることも多いので、結婚式はいつもみなさん大騒ぎです。メールが来ると必ず大騒ぎになりましたと書いていただいてます(笑)。オーダーではない、レンタルを使われる方でも同じで、やっぱり見たことのないドレスだと仰っていただいているようでうす。
豪華絢爛な和ドレス
逆に言うと、ドレスは新品でも着物は場合によってはひいおばあちゃんの代から代々受け継がれてきたなんていうこともありますから、100年以上経っていたりもしますね。使わなくなってしまった着物を活用できるということで、特に地方の方なんかは沢山持っていますのでダンボールいっぱいに着物を送ってこられたりしますね。
- 遠方の方からの注文も多いんですか?
多いですよ。昨日も名古屋の方からメールをいただきました。その方はもう名古屋から3回通われています。名古屋の方は4人ほどいます。その他にも豊田や四日市からも来ていますね。横浜の方も多いです。式も向こうで挙式されるんですが、ドレスのためだけにこちらにお越しいただけるということで、ゼクシィなどを見て決め打ちで来店される方が多いです。ゼクシィで見たあと検索して確認される方も多いです。
- この荒川の商店街にお店を構えていて区外の遠方からお客さんを取られているっていうのは相当珍しいですよね。
そうですね。実はお客さんが大半が遠方の方ですね。ゼクシィでのご来店が中心ですので。あと近隣の会社に勤務されている方が通勤途中で見かけて気にしていただいて来店される場合が多いですね。
- 和ドレスをやっているお店って全国でどれくらいあるんですか?
検索すると数軒でてくるんですが、少ないですね。うちのように帯結びまでやっているところは無いみたいです。来店いただけるとみなさん驚かれます。
- 特に見ていただきたいポイントはどのあたりでしょうか。
一番の売りは帯結びでして、一着ごとに帯の結び方も少しずつ変えています。妻が和装の着付けもできるので、帯の結びの本を見て研究したりしてます。できるだけ同じものを同じパターンで作るということはしないように考えてます。
一つ一つがオリジナルのこだわりの帯結び
うちはアクセサリーも全て手作りのものになります。
手作りの小物類
- オーダーが主体なんでしょうか?
もともとは5年ほどオーダーのみやっていたんですが、去年ぐらいからお客さんに「せっかくサンプル作ってるんだからサンプルぐらいレンタルできないんですか?」って言われて、それもそうだなと(笑)。それに着物を持っていらっしゃらないお客様もいますし、ご予算的にもレンタルであれば10万円ちょっとでお貸しできますから増えてきました。
ですが、レンタルで、ということでお越しになられて、結局オーダーにされる方も多いですね。これだったら着物探してきますというような感じで。オーダーでもおおよそ25万円ぐらいで作れますので、式場さんでレンタルされるよりはオーダーで作ってもお安くできているんではないかなと思います。
- 話変わりますが、、海外に英語で宣伝したら人気出そうですね。
実は先日、マカオから突然ドレスショップさんが来たんですよ。アポ無しで。「Can you speak English?」なんて聞かれて慌てて対応しました(笑)。
その後、オーダーの注文をいただきました。ネット検索して来られたみたいです。日本語の情報しか出していないんですけど、中国語圏の方であれば漢字は読めるので、それを見て来られたのではないかなと思ってます。Facebookにもあげたのですが、つい最近はニュージーランドの方にもオーダーで発注いただきました。
ニュージーランドのお嫁さん。振り袖がついたオーダー品で。
- ご夫婦で切り盛りされていると仕事でぶつかることなんかも無いんですか?
毎日です(笑)。ドレスの価格をどうするかとか、いつもぶつかってます(笑)。
- 競争は激しい業界ですよね。
路面店はなかなか大変です。大手企業さんは広告宣伝費も沢山かけてますし、業界的にも結婚式は簡素化する傾向にもあるので更に競争は激しくなっています。うちは和ドレスがあったので生き延びていますが、これがなかったらなかなか厳しかったかもしれません。これからも新作を作ったりしてしっかりやっていきたいと思ってます。
- 和風ウェディングの人気もあがってきていますよね。
そうですね。うちも2007年ぐらいに和ドレスを初めて頼まれたんですが、その後ゼクシィに和ドレスの写真を載せてから注文が増えました。アド街ック天国でも取り上げていただいたりして。アド街ック天国ではちょうど結婚式間近だった方にモデルになっていただいたんですが、その方は今でもお手紙をいただいたりして仲良くさせてもらってますよ。
万年さんご夫妻の明るいお人柄に会話も弾み、楽しいインタビューでした。人生の大切な瞬間に着るあなただけの一着を、エンジェルキッスさんにお願いしてみてはいかがでしょう。きっと間違いのない選択だったと思えると思いますよ。
<店舗情報>
- 店名:ウェディングドレス エンジェルキッス
- 住所:荒川区荒川3-47-11
- 営業時間:11時〜19時(水曜定休)
- 電話:3805-5328
- ホームページ: http://www002.upp.so-net.ne.jp/angelkis/ | Facebook
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