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2015年11月号 vol.24

競輪から高齢者向けまで - 世界に誇る荒川区のオーダーメイド自転車メーカー:(株)マツダ自転車工場

2015年11月02日 01:25 by yoshitomo-yasuyo
2015年11月02日 01:25 by yoshitomo-yasuyo

荒川区は自転車で回れ、日暮里の生地屋、都立尾久の原公園など、子どもが小さい時から自転車のお世話になっています。

先日、「自転車でまちづくりができないか」と誘われた会で「昭和30年代は多くの自転車関連の工場があって、関西の堺市、関東の荒川区と言われていたんですよ」と話をされたのが、区内にあって世界からも注目される自転車メーカー、マツダ自転車代表の松田志行さんでした。

オーダーメイドの自転車で名高い株式会社マツダ自転車工場。今回そこに取材にお邪魔しました。

マツダ自転車工場 松田裕道専務

取材当日は専務である松田裕道さんにお話をお聞きしました。

裕道さんは代表の息子さんで三代目。元々は別の仕事をしていたのですが、代表であり、父親でもある志行さんの仕事を手伝うようになったそうです。パンク修理から始め、今では製作にも携わっています。

マツダ自転車工場 - ショールーム

ショールームには今までに作られた自転車が数々展示されています。一般向けにもこれまで様々なアイデア自転車を生み続け、日本自転車普及協会主催のハンドメイドバイシクル展コンテストでは、四年連続で最優秀賞、優秀賞を受賞しています。

LEVELがつくり出すオーダーメイド自転車は、競輪選手1人ひとりの身体や目的に合わせてカスタムされる「ハンドメイド」。競輪選手用フレームをはじめ、サイクリング、通勤向けモデル、高齢者向けの自転車など、多彩なモデルを丁寧な手仕事でつくりあげています。

マツダ自転車工場 - 自転車1

「競技用自転車を組み立てるためには登録の許可が必要なんです。」とのこと。競輪は自転車競技法に基づいた公営のギャンブルのため、登録制になっているのだそうです。技術と経験を積み、昭和55年に商標「レベル」として正式にJKA登録を果たしています。

LEVELの自転車づくり

オーダーでは乗り手が自転車の目的(コンセプト)を作り手に伝え、サイクリング・レースなどどのような乗り方をしたいか、理想のイメージを話し合うことだそうです。コンセプトが固まったら、コンピュータ(CADシステム)を使って、乗り心地を左右する設計図を作成。

自転車業界ではLEVELが初めてCADを採用したそうです。

マツダ自転車工場 - 競技用自転車

フレームの素材には、クロームモリブデン鋼(クロモリ鋼)と呼ばれるスチールパイプを使用します。

クロモリ鋼はしなやかさと強さがバランスよく融合した、自転車フレームに最適な素材だそうです。競輪などのプロ選手用フレームにも採用されています。パイプを溶接(ロウづけ)し、仕上げ、様々な形状のヤスリを使い分けた丁寧な手作業で、手間と時間をかけて滑らかに仕上げ・芯取りを経て完成したフレームは、塗装工場でお客さんの好みの色にペイントされます。

優U(ゆうゆう) 〜 高齢者向け自転車

マツダ自転車工場 - 優U 

優Uは、U字型フレームで、変型性膝関節症や人工関節など、ひざや股関節が曲げにくい方でも乗りやすいようにと作られた超低床自転車です。

1人ひとりの症状に合わせたオーダーメイドで、一度は自転車に乗ることをあきらめてしまった方でも、もう一度自転車のある生活が可能になります。オーダーしていただいた自転車は、1台1台丁寧に手づくりされ、お客様のお身体に合わせて組み立て、調整をしてお渡しするとのこと。試乗させていただきましたが、楽に漕げました。膝を曲げにくいと感じている方におすすめです。

海外で賞を取ったので、海外からも来店者があります。

市販の自転車と違い、一人ひとりの身体、目的に応じたオーダーは乗り易く、丁寧に作られた自転車を見ると、本物とは?こだわりとは?は肌で感じられるものだとつくづく実感しました。

人を想う心(乗り易さ、安全に乗れるなど)と技術、どちらも大切にしなくてはいけないものではないかと。荒川区で私が大切にしたいブランドがまた1つ増えました。


<企業情報>

  • 名称:株式会社マツダ自転車工場
  • 住所:東京都荒川区東尾久1-2-4
  • 電話:03-5692-6531
  • ホームページ:www.level-cycle.com

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